ESSAY2026.01.0810 min

バイブコーディングでブログ記事はどう変わるか

Pudding.cool や Explorable Explanations を手がかりに、個人ブログで動く記事を作れるようになったことの意味を考える。

vibe coding」——AIにコードを書かせて、自分は方向性だけ示すスタイル。 2025年、Collins Dictionaryの年間ワードに選ばれた言葉です。

コードを書ける人の範囲が広がると、ブログ記事の作り方も変わります。 テキストだけでなく、インタラクティブな表現も選択肢に。 この記事では、実際に小さなインタラクションを入れて試します。

HTML article artifact

この記事自体を、動く記事制作の作業台として読む

バイブコーディング、Explorable Explanations、The Pudding、単一HTML成果物を、単なる事例紹介ではなく、個人ブログで使える制作プロセスへ落とし込むページです。

Artifact readout

4

参照系譜

vibe coding、Nicky Case、The Pudding、単一HTMLデモを接続する

20

HTMLデモ

9カテゴリ20個のデモを記事制作の型として再分類する

0

不要な旧図

本文に使わないデモは削り、役割のある図だけを残す

1

制作判断

Markdownで十分か、HTMLにするべきかを読者が判断できる

Context

なぜ今か

コードを書く人の範囲が広がり、記事表現も作れる範囲が広がったことを示す。

Lineage

何を継ぐか

Explorable ExplanationsとThe Puddingの思想を、個人制作の現実へ接続する。

Pattern

どう作るか

比較、地図、プロトタイプ、説明、計画、レポート、編集の型に分ける。

Output

何に使うか

公開記事の前に、読めるUIとして検証できる中間成果物へ落とす。

Quality checks

Reading

主張が追える

事例の羅列ではなく、記事制作の変化という一本の論旨に戻る。

Comparison

HTML化の条件が見える

文章で十分な場面と、ブラウザ画面にした方がよい場面を分ける。

Interaction

図が役割を持つ

見栄えのための図ではなく、判断、比較、移植のための図だけを置く。

Reuse

次の記事へ移せる

このページで得た型を、他の記事の制作パネルとして展開できる。

What this page returns

制作基準

単一HTMLにするべき記事、しなくてよい記事の判断軸。

記事内パネル

公開ページに残しても意味がある、読者向けの成果物UI。

実装メモ

Markdown、HTML、React記事コンポーネントの順に移す作り方。

01

バイブコーディングの時代

2025年2月、OpenAIの共同創業者であるAndrej Karpathyが「バイブコーディング(vibe coding)」という言葉を生み出しました。

You just see stuff, say stuff, run stuff, and copy paste stuff, and it mostly works.

ただ見て、言って、実行して、コピペする。だいたい動く。

Andrej Karpathy

Source: X (@karpathy)

要は、AIにコードを書かせて、自分は方向性だけ示す、というスタイルです。 マーケターがランディングページを作り、デザイナーがプロトタイプを動かし、 ライターがインタラクティブな記事を書く。 「作り手」と「使い手」の境界が溶け始めています。

実際に、バイブコーディングを前提としたスタートアップが急成長しています。

バイブコーディング経済圏

$200M+

Lovable ARR

AIでWebアプリを生成するプロダクトが、短期間で大きな売上規模に到達した。

$6.6B

Lovable評価額

ソフトウェアを作る入口が広がることに、資本市場も強く反応している。

25%

YC W25

Y Combinator 2025年冬バッチの一部では、コードの大半をAIで生成する企業が出てきた。

成長速度の見方

2025年2月

ローンチ

AIアプリ生成の入口が一般化し始める

2025年10月

$100M ARR

従来のSaaS成長よりかなり速いペース

2026年2月

$200M ARR

個人や小チームが作る速度が市場規模に接続する

ここで重要なのは、数字そのものよりも、作る人・作る速度・公開までの距離が短くなっていること。 ブログ記事の表現も、その変化の影響を受ける。

さらに興味深いのは、「コードを書く人」の定義が変わりつつあることです。 マーケターが、デザイナーが、起業家が——職種を問わず、 アイデアを持つ人が自分でアプリを作り始めている。

つまり、「コードを書く」行為が、エンジニアリングだけでなく、 マーケティングやグロースの領域でも使える手段になり始めています。

もちろん批判もあります。Andrew Ngは「バイブコーディングという言葉は誤解を招く」と指摘していますし、 設計やレビューを飛ばせば、実装は簡単に破綻します。 それでも、個人が動く記事を作るまでの距離は短くなりました。

だから、ブログ記事も変わる

エンジニアでなくてもコードが書けるようになった。 コードが書けるということは、「動くもの」を作れるということです。

従来のブログ記事は、テキスト、画像、せいぜい埋め込み動画まで。 情報を「伝える」ことはできても、読者が「試す」ことはできませんでした。

でも、コードがあれば話が変わります。 数字を入れて計算させる。パラメータを変えて結果を見る。 データをグラフで見せて、必要な時だけ補足を開く。 読者が操作しながら理解を深める——それがインタラクティブ記事です。

有名な例

2012年、New York Timesが「Snow Fall」という記事を公開しました。 雪崩事故を追ったこの記事は、スクロールするたびに動画やアニメーション、 シミュレーションが本文の理解を助ける作りでした。

公開から6日間で350万PV。Pulitzer賞を受賞。 「to snowfall(スノーフォールする)」という動詞が業界用語になるほど、 インパクトのある作品でした。

同じくNew York Timesの「You Draw It」シリーズでは、 読者がまず自分で予測を描いてから、実際のデータと比較します。 「予測 → 答え合わせ」というシンプルな仕組みが、記憶の定着を促す。 研究でも、こうした能動的な関与が学習効果を高めることが示されています。

でも、作るのは大変だった

こうした記事を作るには、従来は専門チームが必要でした。 エンジニア、デザイナー、ライター、データアナリスト—— 8人で数週間かけて、ようやく一つの記事が完成する世界。

Bloombergには30人のデータジャーナリズムチームがいます。 The Puddingも、フルタイムのスタッフが各自リサーチからコーディングまで担当する体制。 個人が片手間に作れるものではありませんでした。

でも今は、1人で週末だけでも試せる。 その差は、制作体制の変化として整理できます。

動く記事で使える表現

01

補足を重ねる

本文を細く保ち、必要な背景だけ近くに置く

隠しすぎて、読まないと意味が通らない状態

02

段階的に見せる

因果や時系列を一段ずつ理解できる

単なる演出として順番に表示するだけ

03

予測してから見る

自分の仮説と実データの差を確認できる

クイズ化して、本文の理解から離れること

04

比較を図にする

文章だけでは見えにくい差分を一目で捉えられる

見た目だけのチャートを置くこと

補足を開く、順番に読む、予測してから答え合わせをする、データを切り替えて比較する。 同じ情報でも、読者が考える余地を持つと理解の深さが変わる。 インタラクティブ記事の価値は、ここにあります。

Section

Markdownと公開記事の間に、単一HTMLを挟む

ここで話したいのは、Markdownを否定することではありません。 バイブコーディングで「動くもの」を作れる人が増えたなら、記事制作の途中にも、 文章だけではなくブラウザで読める下書きを挟めるようになった、という話です。

参考にしている「The unreasonable effectiveness of HTML」は、20個の自己完結HTMLを Exploration、Code Review、Design、Prototype、Diagram、Deck、Research、Report、Editorの 9カテゴリに分けています。共通しているのは、Markdownで縦に流れる情報を、 比較できる面、触れる面、見直せる面に変えていることです。

インタラクティブ記事の制作では、この中間形がかなり効きます。 最初からThe Puddingのような完成品を目指すのではなく、まず単一HTMLで構成、図、比較、操作、根拠を並べる。 そこで「これは読者の理解に効く」と分かったものだけを記事へ移し、 制作中だけ便利だったUIや、意味の弱い図は落とす。

The 20 HTML demos, translated

参考元が示しているのは「完成品」ではなく、記事制作の中間形

9カテゴリ20個のデモは、Markdownをそのまま公開する代替案ではありません。 AIに作らせた思考の途中経過を、ブラウザ上で読める、比べられる、触れる形にして、 そこから公開記事に残すものだけを選ぶための型です。

Reference categories

3

Exploration

切り口、デザイン方向、実装計画を横に並べて選ぶ

3

Code review

差分、PR説明、モジュール構造を空間として読む

2

Design

トークン、部品、状態を実物のHTMLとして確認する

2

Prototype

アニメーションやクリック導線を説明ではなく触感で見る

2

Diagrams

図版やフローを本文に貼れる形で作る

1

Deck

短い発表や編集会議用に、矢印キーで読める構成へする

2

Research

TL;DR、段階説明、用語集で学習記事をナビゲート可能にする

2

Reports

週次報告や事後分析を、指標と時系列で読ませる

3

Editors

並べ替え、トグル、プロンプト調整を成果物へ戻す

How it fits this article

From vibe coding to publishing

「作れる人が増えた」だけでは、良い記事にはならない

バイブコーディングで、個人でも動く記事を試せるようになった。 ただし、AIが出したHTMLをそのまま載せると、作業用のUIや弱い図まで読者に見せてしまう。 だから一度単一HTMLで下書きし、記事として必要な部品だけを残す。

01

下書き

20デモの型で素材を画面化

02

編集

過剰なUIと弱い図を削る

03

公開

本文に効く表現だけ移す

Do not confuse

HTML draft

Published article

Interactive journalism

これは「全部をアプリにする」話ではなく、記事に残す表現を選ぶための編集工程です。

Editorial decisions

残す

読者の理解を変えるもの

判断: 公開記事に残すのは、本文だけでは理解が落ちる要素。

扱い: 予測、比較、フィルタ、図解など、触ることで意味が変わる部品。

削る

制作中だけ便利だったもの

判断: レビュー用のチェック表、作業ログ、コピー用メモは読者に見せない。

扱い: 記事の外側にある足場は、公開時に落として本文の密度を上げる。

直す

画面にすると粗が見えるもの

判断: Markdownでは、長い説明や似た表現が流れてしまう。

扱い: 見出しの重複、弱い図、根拠の遠さ、スマホ崩れを目で潰せる。

移す

React記事へ分解できるもの

判断: 完成HTMLを丸ごと載せるのではなく、意味のある部品へ戻す。

扱い: 本文、図、表、操作、引用をNext.jsのセクションとして切り出す。

01 / Prompt

壁打ちする

記事の問い、素材、読者、避けたい表現をAIに渡す

02 / HTML

画面にする

参考元の型を使い、比較や図解を一枚に配置する

03 / Editorial pass

削る

読者に見せる意味がない作業UIや弱い図を落とす

04 / Article

移植する

残った部品だけを記事コンポーネントとして仕上げる

Compare

01 / 02 / 06

比較を横に置く

文章で順番に説明する代わりに、実装案、デザイン案、コンポーネント状態を同じ評価軸で並べる。

使いどころ: 記事構成案、導入案、図解トーンの選定

Map

04 / 13

流れを地図にする

リクエスト経路、デプロイ手順、エージェントの作業ループを、クリックできる図として読む。

使いどころ: AIワークフロー、システム解説、因果関係の整理

Prototype

07 / 08

操作感だけ先に試す

本実装の前に、アニメーションやドラッグ操作の感触だけを小さなHTMLで確かめる。

使いどころ: スクロール演出、診断UI、記事内ツール

Explain

14 / 15

概念を触れる形にする

TL;DR、段階的な説明、比較表、用語集、ライブ状態を組み合わせて抽象概念を下ろす。

使いどころ: LLM、アルゴリズム、プロダクト構造の解説

Plan

16 / 17

実装前にレビューできる形へ

マイルストーン、データフロー、リスク表、before/after、レビュー焦点を一枚にまとめる。

使いどころ: 記事の設計レビュー、AIへの実装依頼、PR説明

Report

11 / 12

時系列と指標を読む

週次ステータスやインシデントを、KPI、ハイライト、タイムライン、アクション項目に分ける。

使いどころ: 調査記事、ケーススタディ、失敗分析

Edit

18 / 19 / 20

読者の操作を成果物に戻す

並べ替え、トグル、テンプレート調整を行い、結果をMarkdown、JSON、プロンプトへコピーする。

使いどころ: 章立て整理、設定比較、プロンプト配布

つまり、単一HTMLは公開形式というより編集形式です。 読者に見せる最終UIではなく、作り手が「この記事は読む価値のある形になっているか」を確かめる作業台。 だからこそ、公開時には削る判断も同じくらい重要になります。

この形式、実は長い歴史がある

02

インタラクティブ記事の系譜

こうしたアイデアは、バイブコーディング以前から存在しています。

2011年

Explorable Explanations(探索可能な説明)

Bret Victorが「操作できるドキュメント」の概念を提唱。読者が著者の仮定を変えられる記事という発想。

2012年

Snow Fall(雪崩)

New York Timesがスクロールテリングの原点となる記事を発表。Pulitzer賞を受賞。

2017年

The Pudding 設立

データジャーナリズムを「視覚的エッセイ」として発信。D3.js + Svelteを駆使。8人のフルタイムスタッフ。

2025年

Vibe Coding(バイブコーディング)時代

Karpathyが「vibe coding」を提唱。Collins Dictionary年間ワードに。AIでコード生成が一般化し始める。

Timelineの先頭にある2011年。この年、Bret Victorが「Explorable Explanations」というエッセイを発表しました。

Victorの問題意識はシンプルでした。「人々はテキストを『消費する情報』として捉えている。 私はテキストを『思考するための環境』として使いたい」——と。

A reactive document allows the reader to play with the author's assumptions and analyses, and see the consequences.

リアクティブなドキュメントは、読者が著者の仮定や分析を操作し、その結果を見ることを可能にする。

Bret Victor

Source: worrydream.com/ExplorableExplanations

静的なテキストでは、読者の思考は「内的で見えないまま、曖昧で推測的」にとどまる。 でも、インタラクティブなドキュメントなら、読者は著者の仮定を変更し、その結果を自分の目で確認できる。 読むことが、能動的な「検証」になる。

Explorable Explanations の要点

01

予測

先に自分の仮説を置くと、答えを見たときの差分が残る。

02

適用

読者自身の条件に当てはめられると、抽象論が自分ごとになる。

03

段階化

情報を一度に出さず、理解の順番に沿って見せる。

Nicky Case: 遊びながら学ぶ

Bret Victorの思想を具体的な形にしているのが、Nicky Caseです。カナダ出身のインディーゲームデザイナー兼ウェブクリエイター。 彼女の作品は「複雑なシステムを理解させる」という一貫した目標を持っています。

代表作「The Evolution of Trust」は、ゲーム理論の古典を30分で体験できるインタラクティブ作品。 一方的に説明するのではなく、遊ぶ過程で構造が見える。 これが「遊びながら学ぶ」の強さです。

The Evolution of Trust / 読み解き

短期の1回勝負

裏切りが得に見えやすい

局所最適が全体最適とは限らない

繰り返しの関係

協力が報われやすい

相手の次の反応まで含めて考える

ノイズがある環境

誤解で協力が崩れる

許す仕組みや修復の余地が必要

「The Evolution of Trust」が伝えているのは、短期的には「裏切り」が得に見えても、 長期的には「協力し続ける」方が双方にとって得になる。 その構造を自分で追えるから、抽象的なゲーム理論が具体的に見える。

Nicky Caseの作品は多岐にわたります。社会科学、心理学、政治学—— どれも難しいテーマを「体験」に変換している。

彼女のブログには 「How I Make Explorable Explanations」 という記事もあります。「説明したいことをゲームにする」プロセスが詳しく書かれていて、参考になる。

「ゲームにする」プロセス

Nicky Case流 3ステップ
Step 01Story

メッセージを一句に絞る

最初に「何を伝えたいのか」を短い問いに圧縮。余計な要素を足さない。

Step 02Interaction

触れる動詞を決める

読者ができることを1〜2個に絞り、迷わず試せる構造にする。

Step 03Playtest

短く試して磨く

紙やプロトタイプで素早くプレイテストし、フィードバックでルールをそぎ落とす。

そして、こうした「体験型学習」には科学的な裏付けもあります。

1.5×

従来講義の失敗率

Freeman et al. (2014) のメタ分析では、従来の講義形式はアクティブラーニングと比較して失敗率が高い。 ここから言えるのは、派手な演出ではなく、読者が考える余地を設計することの重要性。

最初に刺激を受けたサイトがある

03

刺激を受けた Pudding.cool

数年前、The Puddingというサイトに出会いました。

記事はここまでできるのか

最初に見たのは、たしかSpotifyの再生データを分析した記事だったと思います。 スクロールするたびにグラフが動き、自分のデータを入力すると結果が変わる。 読んでいるというより、動かしている

The Puddingとは何者か

The Puddingは2017年に立ち上げられたデジタルメディア。 「文化で議論されるアイデアを、ビジュアルエッセイで説明する」というミッションを掲げています。

創業者は Matt Daniels、Russell Goldenberg、Ilia Blinderman の3人。 元々 Polygraph というデータデザインスタジオを運営していて、 YouTube や Google などの大企業向けにビジュアライゼーションを制作していました。 The Pudding はその編集部門としてスタートしたわけです。

なぜThe Puddingは特別なのか

Russell Goldenberg はこう語っています: 「私たちは The New Yorker のような1万語の記事は書かない。 でも同じように複雑なトピックを、文章ではなくビジュアルで探求する」と。

彼らの強みは「ジャーナリスト兼エンジニア」という珍しい人材構成にあります。 階層的なチームではなく、コレクティブ(集合体)として運営。 各メンバーがテーマを選び、リサーチからデータ分析、デザイン、ライティング、コーディングまで一人で全工程を担当します。

The Pudding の技術スタック

pudding.cool/resources / JS Party #193より

FE

フロントエンド

JavaScriptD3.jsSvelteHTML/CSS

ビジュアル表現の核。D3.jsとSvelteの組み合わせが特徴的

DATA

データ処理

RPythonSQLNode.js

メンバーごとに好みのツールが異なる。RussellはNode、AmberはR派

DES

デザイン

FigmaIllustrator手書きスケッチ

手書きスケッチからFigmaまで、ストーリーに合わせて選択

MAP

インタラクティブ地図

Mapbox

地理データの可視化に使用

ポイント:各メンバーが全工程を一人で担当

リサーチ → データ分析 → デザイン → ライティング → コーディング

平均して1プロジェクトに約1ヶ月をかけるそうです。 プロセスの核心は「答えたい問い」を見つけること。 ニュースサイクルやクリックベイトは追わない。 ビジュアルが情報を伝え、かつ楽しませるテーマを選ぶ。

代表作品

彼らの作品を見れば、その哲学がよく分かります。

特に印象的なのは「The United States of Abortion Mazes」。 各州の中絶政策を「迷路」として体験させるという発想。 政策の複雑さを、文章で説明するのではなく、ユーザー自身に迷わせることで伝える。 これが「Explorable Explanations」の強さです。

The Puddingは「Making Internet Things」という3部作のガイドも公開しています。 データ処理、デザイン、ストーリーテリングについて、 彼らの手法を具体的に共有している。

憧れと現実

「自分もこういうのを作りたい」と思いました。 でも同時に、「自分には無理だ」とも思いました。

D3.js?Svelte?データ分析?デザイン? こうした役割を一人で担える人材は、採用市場でもかなり限られています。 Nicky Caseはゲームデザイナーとしてのキャリアがある。 The Puddingはフルタイムの専門チームを抱えている。 個人が、本業の片手間に作れるものではない——少なくとも、今までは。

——でも、バイブコーディング時代の今なら、話が違います。

制作体制の変化

専門チーム

個人 + AI

エンジニア、デザイナー、ライター、データ担当の分業を、AI支援で小さく試せる。

数週間から数ヶ月

週末の試作

公開品質は別として、仮説を動く形で見るまでの時間は短くなった。

大きな企画

小さく公開して直す

最初から完成品を目指すより、読者の反応を見ながら磨ける。

このブログは、そういう文脈で生まれました

04

rkagaya.postについて

なぜ作ったか

Pudding.coolに刺激を受けて、「こういう記事を作りたい」と思っていた。 ただ、個人で作るには実装量が重いとも感じていた。 Claude Codeを使うようになって、その前提が少し変わった。

AIとの共同制作

このサイト自体、ほぼ全てClaude Codeで作っています。 デザイン、コンポーネント設計、アニメーション実装—— 自分が「こういう感じにしたい」と言語化し、AIがコードに落とし込む。 その繰り返しです。

この記事も同じ。文章を書いているのは私ですが、 インタラクティブな要素やレイアウトはClaude Codeと一緒に作っています。 つまり、この記事自体がバイブコーディングの実践例です。

何をやるか

AIエンジニアリング、LLMやAIエージェントの話から、プロダクト開発。 このあたりの話題を、必要に応じてインタラクティブな形式でも扱います。

コスト計算のシミュレーター、意思決定のフローチャート、データの可視化。 読者が自分の状況に当てはめて考えられるようなコンテンツを作りたい。

最初から大きな作品を作るより、小さく出して、読む人の反応を見ながら直していく。 このブログでは、その作り方自体も試していきます。

最後に

05

作り手が増える世界へ

インタラクティブな記事を作るのに、もう専門家チームは必要ない——とまでは言いません。 The Puddingのクオリティに個人が追いつくのは、まだ難しい。 ただ、個人が試作して公開するところまでは現実的になっています。

でも、「プロトタイプ」と「公開できるもの」の距離は、かなり縮まっています。

アイデアがあれば、とりあえず形にできる。 形にすれば、フィードバックがもらえる。 フィードバックをもとに改善できる。 このサイクルが、以前より速く回せるようになった。

このブログでは、その距離の縮まり方を自分の題材で試していきます。

毎回インタラクティブにする必要はない。 ただ、テキストだけでは伝わりにくいところでは、読者が試しながら理解できる形を選びたい。

次の記事では、コスト計算や技術選択のように、触ることで見え方が変わるテーマを扱います。

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